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国語の習い方

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 父親の仕事の都合で中学校の時にドイツに行かれた著者が、その体験を基に気づいた大きなこと。それは、日本語と外国語の「国語」の習い方の違い。

 日本の国語の授業にはない、作文を書くための技術や、言葉だけでそれを知らない人に説明する仕方、報告文や小論文の書き方、そして人前でのプレゼンテーションの技術などを学ぶ「言語技術」。
 外国語を学ぶ前に、まず日本語でこの「言語技術」が身に付いていたら、外国人とのコミュニケーションがもっと的確になる、という内容。

 興味はあるけれど、なんだかちょっと難しそうな気がして、なかなか買わずにいた本。でもやっぱり気になって、初めに書かれた『外国語を身につけるための日本語レッスン』から読み始めたら、とても読みやすい。そして日本で国語を習ってきていると、あまりにも自然なことで、どこがおかしいのか分からない。
 でも、読み進めて行くと、まさに目から鱗が落ちました。まるで手品の種が明かされたような、推理小説の探偵が犯人の行動を説明しているような。

 というのは、フランスの語学学校に数ヶ月留学したときのこと。毎日の宿題に、文学作品の抜粋を読み、要約と短い作文に内容をまとめて提出するというものがありました。
 出来上がってみれば、短い文章なのに毎日ものすごく時間を掛けていました。もちろん自分の学力も関係すると思いますが、この「言語技術」を身につけていたなら、もっと楽に理解できたのではないかと思うのです。

 この本によると、その国の言葉があまり話せなくても、この「言語技術」が身についていると、質問に対して的確な答えがわかるとのこと。
 子どもだけではなく、各国の国語の教師が集まって授業を想定したゲームを行っても、日本人教師の出す質問の意味や答えが、他の国の教師たちに全く伝わらないとのこと。

 日本の国語にも、もちろん優れた点があると思いますが、外国語を習ったり、外国人とのコミュニケーションをとったり、特に外国に留学して勉強する人には、「言語技術」は必要だと実感しています。
 この本にも書いてありますが、一枚の絵の説明の仕方一つでも日本人と外国人では大きく違うそう。

 実際子供用の教室も開かれているとのこと。私も通ってみたいです。

 

by emioohara | 2009-09-12 16:10 | hon